アザラシになりたい人生

ゲーム制作や日常についての独り言

アザラシになりたい人生

脱出ゲームシナリオを作成するコツ

お疲れさまです。あざらしばいぬ(@AzaraShibainu)です。

2021年より定期的に脱出ゲームシリーズをリリースしています。

「これから脱出ゲーム制作を始めたい」という方に向けて、シナリオ作成のコツを共有いたします。

はじめに断っておきますが、ゲーム制作のプロでも何でもないので不完全な部分がありますし、全くの自己流なので非効率なこともやっているかもしれません。

あくまでも参考程度に留めていただき、各々で効率化・標準化をしていただけたらと思います…。

 

 

①世界観の設定

まずは、ゲーム全体の世界観から決めていきます。

目的は、この後の作業(謎解きの構築やアイデア出し)をスムーズにすることですね。

とは言っても、脱出ゲームというジャンルの特性上、詳細設定まで作り込む必要はなく、キーワードを2〜3個に絞る程度でいいと思います。

(ストーリー重視の場合はこの限りではない)

私がリリースしたアプリ「脱出ゲーム 宮城のお土産屋」を例にすると、宮城県」「ワンルームの2要素を軸に設定しておりました。

キーワード選びは特にルールは存在しないので、作りたい世界観に基づいて自由に設定するといいと思います。

大事なのは、作り込みすぎないこと。

ここで体力を消耗すると、モチベーションが下がって完成できなくなります。

 

②アイデア出し

世界観を決めたら、お次はアイデアをひたすら出していきます。

①で抽出したキーワードに関連するモノを、とにかくひたすら書き出していきます。

取り入れてみたいギミックやアイテムも、このタイミングでついでに考えておくといいかもしれません。

ここのセクションは、ChatGPTなどの生成AIに頼るとやりやすいと思います。

ちなみに、先ほど例に挙げた「宮城のお土産屋」では、以下のようにアイデア出しをしました。

エクセルにまとめると後で整理しやすい

このように書き殴ったアイデアは、次のセクションで謎解きギミックの形にまとめていくので、ここではとにかく後先考えずにアウトプットしまくります。

 

③謎解きの構築

全4セクションの中で、ここが最重要かつ最も工数を要する大変な部分です。

このセクションでは、以下のような「進行表」を作成するのが目的です。

謎解きの進行表

進行表の前に、ゲームシステムの特徴について説明します。

脱出ゲームのシステムは全て、「ヒント」「アイテム」「ギミック」の3要素で構成されており、これらの組み合わせ数や順番によってゲームバランスが決定します。(と個人的に考えてます)

まず、それぞれの特徴を説明すると、

 

  • ヒント ・・・アイテムの使い道や、ギミックの答えを与えるもの。基本的に消費後も何度でも見ることができる。
  • アイテム・・・ギミックに対して使用するもの。基本的に消費後は使用できなくなる。
  • ギミック・・・ヒントやアイテムを組み合わせて(もしくは何もヒントやアイテムを使わずに)、新たなヒントまたはアイテムを得るための仕掛け。

 

これだけではピンとこないので、以下に簡単な例を載せました。

宝箱を開けるギミックの例

この場合、3要素はそれぞれ以下の通りとなります。

 

  • ギミックが「宝箱を開封すること」
  • ヒントが「壁に記された暗証番号」
  • アイテムが「鍵」

 

そして、1つのギミックに対して、何をどのように組み合わせたのかについては、「消費」「獲得」というワードで管理していきます。

 

  • ギミックを解くために使用したアイテム、ヒントは「消費」に分類。
  • ギミックを解いた後に得るアイテム、ヒントは「獲得」に分類。獲得したアイテム、ヒントは、次のギミックで消費する。

 

もちろん、組み合わせ数を増やしてギミックをより複雑にすることも可能です。

「消費」を2つに増やした場合

このように、アイテムとの組み合わせで謎を解くようにすることも可能です。

組み合わせ数とギミック難易度は比例しているため、ゲームバランス調整を行う場合はこのテクニックを使うことをお勧めします。

ただ、これには以下のような注意点があるため要確認です。

 

  • 消費アイテム/ヒントを全て組み合わせた場合のみ解答が得られるようにする。
  • 難易度調整のためとはいえ、組み合わせ数を無闇に増やしすぎると、理不尽性が増すため、高々3個程度に留めておくべき。
  • 獲得アイテム/ヒントも増やしすぎると達成感が失われるため、高々2個に留めておくべき。

 

このようにして、②のアイデアを進行表に落とし込めたら、最後にギミックの整合性検証をします。

(ちなみに進行表の画像に書かれていた「ステップ」とは、おもにオートセーブ機能を実装するための、ゲーム進捗度を管理する変数です。脱出ゲームのシナリオ作りにおいては必須ではないため説明を省略いたしました。)

 

④検証

最後に、③で作り込んだ進行表が正しく機能するか、以下の確認ポイントに基づいて検証を行います。

 

  • アイテム、ヒントは全て消費したか?
  • アイテム、ヒントの消費順に矛盾は生じていないか?
  • ギミックの難易度は進行度に対して右肩上がりになっているか?
  • ギミックの解答は一つに絞られるようになっているか?(ヒントが正しく機能するか)
  • アイテム、ヒントの隠し場所、ギミックの難易度は理不尽ではないか?

 

もし検証を怠って確認ポイントに抜け漏れがあった場合、以下のトラブルを起こす可能性があるので、気をつけましょう。

 

  • ゲームクリア後に未使用のアイテム、ヒントがあると、ゲーム進行自体には支障はないがユーザー体験に影響を及ぼす。
  • ヒント、アイテムの使用順に逆行があると、ゲーム進行に支障をきたす。
  • 序盤難易度が高いとゲームバランスが悪くなる。(難易度は右肩上がりにするとよい)
  • ヒントが正しく機能しないと、謎を解いた後の納得感がなくなる。
  • 無意味に理不尽な難易度は脱出ゲームユーザーに最も嫌われる。(もし高難易度のギミックを仕込みたい場合は、その仕様にあらかじめユーザーが気付けるように伝えるようにする)

 

最後に

ここまで出来たら、後は進行表に基づいてモデリングするだけですね!(実際はここからが大変)

ゲームシステムの構築が一番頭を使うポイントで、最もモチベーションが落ちやすい部分なのかなと思いますので、何とか挫けずに作り抜きたいですね。

この記事の反響が良かったら、モデリングやプログラム実装の解説もするかもしれませんが…簡単なので、特に説明することがないような。

 

あ、ちなみに「宮城のお土産屋」は以下リンクから遊べます。

https://apps.apple.com/us/app/脱出ゲーム-宮城のおみやげ屋/id6450925886

https://play.google.com/store/apps/details?id=com.AzaraShibainu.EscapeGame03&hl=en_US

 

では。